子育てにおける「教育」の答えを探し求めて

子育てにおける
「教育」の答えを探し求めて
「幼児教育とは、エアレープニス的体験の積み重ねである」
まず結論から述べてみましたが、「なんのこっちゃ???」と思われる方がほとんどだと思います。
“Erlebnis” ドイツ語で「体験」を意味する言葉です。しかしここでは、 “Erlebnis”(エアレープニス)と“カタカナ・ドイツ語”で言いたいのです。エアレープニスは、体験という日本語では表せない概念だからです。もともとは現象学における哲学用語で、「より主観的、個人的」「具体的かつ1回的(再現性がない)」「知性を経ない」といった要素を含みます。

現象学の権威ウィルヘルム・ディルタイによれば、「体験とは人間の主体的な働きそのものである」。つまり、誰かにやらされるものでなく、誰かのためにやるものでもなく、自らの意志で行動して、自らが感じた結果であるということです。
またこうも言います。「体験はもっとも確実な現実である」。経験が記憶であるのに対し、そこに自らの意志や感情、学びや気づきが立ち上がることで、自分の中に真に起こった現実となります。ある体験が「楽しい」と感じる子もいれば、「怖い」と感じる子もいます。その先の学びや気づきも違います。それぞれが、その子にとっての現実だということです。さらに「体験は主観的な偏狭さをあわせもつ」とも言います。
つまり、その人独自の偏りや狭い捉え方によって成り立っているものであり、経験とは一線を画すものこそが「エアレープニス」です。

わたしは、発達心理学の専門家として、このエアレープニス的体験こそが、幼児教育の答えであると言い切りたいと思います。「エアレープニスの杜」は、親として、保育者・教育者として、ひとりの大人として、“エアレープニス”を共通認識に、子育て・保育・教育を考え、学び、実践するためのサイトです。
このお誘いに、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一緒に探求の旅へでかけませんか!
一般社団法人日本アタッチメント育児協会
理事長 廣島大三